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マイクロニードル

基礎

マイクロニードルの種類

医療分野、美容分野において、最近よく耳にする「マイクロニードル」には様々な種類があり、各々にメリット・デメリットがあります。マイクロニードルの種類と特徴についてご紹介いたします。


 

貫通孔の有無による分類

 前回の「マイクロニードルとは」でも記載しましたが、マイクロニードルは針先端から裏面を貫く穴(貫通孔)のある「中空型」と貫通孔のない「中実型」に分けられます。


 

中実型マイクロニードル

 中実型は更に薬剤の塗布方法により、ソリッド型、コート型、溶解型に分類されます(図1)。


ソリッド型

 ソリッド型はマイクロニードルにより皮膚に穴を開け(穿刺と言います)、その穴の上部に薬液を浸み込ませたパッチを適用することで、薬剤を皮膚内に送達します(図1a)。

 非常にシンプルな方法ですが、皮膚には穴を開けてもその穴を直ぐに閉じるという“再シール化”という性質(生体を細菌や有害物質から守るために非常に重要な機能です)があるため、入れたい量の薬剤を安定して入れる事が難しいという欠点があります。


コート型

 コート型は、マイクロニードルに薬剤が塗布されており、マイクロニードルを刺入後、一定時間静置し、コートされた薬剤を皮膚内で溶解させることで薬剤を皮膚内に素早く送達します(図1b)。

 薬剤を素早く皮膚内に届ける良い方法ですが、マイクロニードルの表面に薬剤を塗布・固定させた構造のため、少量しか投与できないこと、固定化できる薬剤しか使用できないといった欠点があります。


溶解型

 溶解型はマイクロニードルが薬剤を取り込ませたヒアルロン酸といった生分解性ポリマー溶液で出来ており、マイクロニードルを刺入後、一定時間静置し、マイクロニードルを溶解させることで、薬剤を皮膚内に送達します(図1c)。

 マイクロニードルの全てに薬剤が含まれているため、コート型よりも多くの量が投与でき、また溶解時間を変化させることで長時間作用させることが出来るというメリットがあります。

 しかしながら、薬剤を均一に分散させる事は難しく、また、ニードルに十分な強度を持たすことができる薬剤を選択する必要があり、かつ、入れたい薬剤の量に合わせてニードル本数を調整しなければいけないといった欠点があります。


 

中空型マイクロニードル

 中実型と比較して、中空型のマイクロニードルは通常の注射針のように皮膚に刺入後、シリンジやポンプを用いて薬液を皮膚内に送達するので、薬剤選択の自由度は非常に高く、また、より多くの(必要な量の)薬液を皮膚内に送達することが可能です。

 しかしながら、小さい針に極小の穴を開けるためには高度な技術が必要であり、また薬液が皮膚の外側に漏れださないように注入スピードを最適化する必要があります。



図1* 中実型(a)ソリッド型 (b)コート型、(c)溶解型、中空型マイクロニードルの皮膚穿刺前後の比較


 

シンクランドは中空型マイクロニードルの実用化に向け取り組んでいます

 シンクランドは特殊なレーザー加工技術を生かし、極細の針に極小の穴を有する中空型マイクロニードルの作製に成功致しました。

 私たちは、薬剤選択の自由度が最も高い中空型マイクロニードルで、より多くの患者さまのお役に立てるよう、引き続き実用化に向けて取り組んで参ります。



*T. Waghule et al., Microneedles: A smart approach and increasing potential for transdermal drug delivery system. Biomedicine & Pharmacotherapy 109: 1249-1258, 2019より引用、一部改変

 

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