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工場のラインで流れている製品や建築物の欠陥を見つけたり、絵画など文化財の内部構造や元素を特定したりするのに用いられる「非破壊検査」についてご紹介いたします。
非破壊検査とは?
非破壊検査 (Non destructive inspection: NDT)とは、一般的に、「計測対象物に非可逆的なダメージを与えることなく計測対象物の内部構造、物理的性質、化学的構造、生命現象などを定性的または定量的に計測する手法」です。
非破壊検査のタイプ
X線検査
非破壊検査としては、X線を用いた検査が広く用いられています。X線は波長が10 nm以下であり、光と比較して波長が短くエネルギーが大きいため、光を通さない計測対象物を透過することが出来ます。
透過したX線をX線センサを用いる事で検出し、X線強度を比較することで内部構造を検査するX線CT (Computed Tomography)装置や、フォーカスされたX線を計測対象物の表面に斜め入射させて放出された光電子を計測することで表面近傍の物理的性質や化学的構造を検査するX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy: XPS)などがあります。
超音波検査
他に広く用いられている非破壊検査の手段として、超音波を用いた検査があります。超音波とはヒトの可聴域以上の振動数を有する弾性波です。超音波の深達度と分解能は計測対象物によりますが、深達度は10 cm以上、分解能は100 μm程度であることが多く、両者にはトレードオフの関係があります。
超音波は、計測対象物における音響インピーダンスが一致しない面において反射するため、トランスデューサから出射した超音波と、反射して戻ってきた超音波との時間差と振幅強度を解析する事で、計測対象物内部の音響インピーダンス不整合面を画像化します。
生体、ビルや橋など構造物、車両など、様々な計測対象物の検査に超音波は用いられています。
X線検査と超音波検査のメリット/デメリット
X線と超音波は非破壊検査に最も広く用いられている手段ですが、それぞれメリットとデメリットがあります。
X線は分解能が高く多くの物質を透過しますが、放射線被爆回避への安全対策と計測手順の煩雑さが課題で、超音波は深達度も十分で計測手順も容易ですが、分解能は一般的に低いです。
OCT(Optical coherence tomography, 光干渉断層撮影)
X線と超音波のデメリットを解決する手段として、光を用いた非破壊検査 (Optical coherence tomography: OCT) が用いられてきています。OCTはX線と比較して人体に安全であり、音響インピーダンスマッチング材を使用する必要がないため、超音波検査よりも計測手順は容易です。
また分解能も超音波と比較して10倍以上高解像度です。ただ、深達度は数mmなので、計測対象物の表面近傍、もしくは厚さ数mmのフィルムなどを高解像度で計測する必要があるアプリケーションに最適です。
もちろん光が透過できる計測対象物に限られますが、例えば半導体のシリコンは近赤外領域の波長を透過させるので、半導体を支える構造体の検査等に用いる事が可能です。下図は、半導体パッケージ基板のOCTによる計測例ですが、深さ毎の配線パターンの違いを容易に計測することができます。
シンクランドはOCTを開発・販売しています
シンクランドは産業用途のOCTを開発・販売しております。厚さ数mmのフィルムやシート、積層サンプルを高解像度で検査したい、生体・細胞の3D画像を取得したい、簡単に短時間でできる非破壊検査を探している、といったご要望がございましたら、ぜひシンクランドにお問い合わせください!