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光学系機器・光学試作

応用

波長可変レーザーとは

光部品評価用光源、光伝送評価用光源、センシング用光源として利用される「波長可変レーザ」とは何か、各々のレーザーの特徴に関してご説明いたします。



 

波長可変レーザーとは?

 波長可変レーザーとは波長の変更が可能なレーザーの総称になります。

 従来のレーザーは、基本的にレーザー媒質によって発信波長の範囲が決まるため、自由に変更することはできません。

 そこで、共振器やレーザー媒質を変更するなど、一定の範囲内で波長を可変できるような工夫を加えることによって、波長可変レーザーを実現しています。


 

レーザー媒質による分類

 主なレーザー媒質として、気体、液体、固体、ファイバー(希土類ドープ)、半導体があり、媒質によってそれぞれ呼び名が変わります。


(1) 気体レーザーの場合

 複数波長のレーザー発振が可能なレーザー媒質の一つとしてアルゴン(イオン)が知られています。多数存在する発振波長の中から希望する波長を取り出すために、プリズムと全反射ミラーを用いたレーザー共振器が利用されています。

 更に単一波長発振となるようにするために、レーザー共振器内にエタロン(Etalon)を挿入する構成も良く用いられます。固体レーザーなどに比べ媒質が均質で可干渉性に優れているのが特徴です。


(2) 液体レーザーの場合

 媒質となる液体内に蛍光物質、例えば蛍光色素を溶かしたレーザーは、色素レーザーと呼ばれます。発振する波長範囲は蛍光色素の分子構造によって決まるため、 レーザー色素を変更することによって出力される波長帯を変更することができます。

 気体レーザー同様レーザー共振器内にプリズムや回折格子(Grating)を配置することによって、出力光の波長を選択できます。


(3) 固体レーザーの場合

 結晶によっては広い範囲の波長に対して光を誘導放出するものがあり、広い波長範囲でレーザー光を発振できるものがあります。

 固体レーザーの場合も、波長を取り出す方法として気体や液体の場合と同様の方法が考えられます。気体レーザーと比べて活性中心の濃度が高いことから、高い増幅利得を得やすく、大きな出力が得られるのが特徴です。

 良く知られているチタンサファイアレーザーの場合、700nm-1000nm程度の波長可変域、数Wの出力パワーを有しています。


(4) ファイバーレーザーの場合

 レーザー媒質としてErやYb等が添加されたアクティブファイバーが用いられ、レーザー共振器内に波長可変フィルターを挿入し、そのフィルターの透過(もしくは反射)波長を変化させることで発振波長の切替えを実現しています。

 波長可変フィルターとしては、ファブリーペローチューナブルフィルター(Fabry-Perot tunable filter)や回折格子(Grating)、回折格子と多面体ミラー(Polygon mirror)の組合せ、音響光学可変フィルター(AOTF:Acousto-Optic Tunable Filter)、LCoS(Liquid crystal on silicon)、ファイバーブラッググレーティング(FBG:Fiber Bragg Grating)等が良く知られています。

 これらのフィルターは、波長可変範囲、選択波長幅(波長分解能)、波長可変速度‘(波長掃引速度)、価格といった面でそれぞれにメリットとデメリットがあることから、目的に応じたフィルター方式が選択されています。




(5) 半導体レーザーの場合

 レーザー媒質として半導体を用いており、大きく分けると、外部共振器型とモノシリック集積型の2種類に分けることができます。主に光通信用の光源として利用されています。

 前者は更に波長可変ミラーや波長可変フィルターを用いた方式に分類することができます。

 前者は半導体外部に波長選択素子を配置して共振器を構成し、波長選択素子として回折格子(Grating)が主に用いられます。

 後者にはDFB(Distributed Feedback:分布帰還型)アレー方式、DBR(Distributed Bragg Reflector:分布反射型)方式やDR(Distributed Reflector)方式等があります。以下、それぞれの特徴について説明いたします。


【DFB方式】

 1つのチップ内に発振波長の異なる複数のDFBレーザーを配置し出力を1つに纏めることにより、どのDFBレーザーから発振するかを選択することで、波長可変を実現しています。

 使用されているDFBレーザーは、活性層(レーザーの利得領域)に沿って形成された回折格子によるブラッグ反射を利用することで、活性層で発生した光のうち回折格子の作用を受けた光だけが共振器内に戻るようになっており、これにより単一モード発振を実現したレーザーとなっています。

 DFBレーザー単体も回折格子のピッチを変えることで波長を変えることが出来ます。レーザー自体の温度を変えることによって回折格子のピッチを変えることができるため、結果として単体での波長可変が可能となります。


【DBR方式】

 波長制御のためにレーザー共振器内で回折格子を用いることはDFBレーザーと同様ですが、DFBレーザーでは回折格子が活性層に沿って形成されているのに対し、DBRレーザーでは活性層の外側に回折格子が形成されている点が大きな違いです。

また、活性層の領域と回折格子の領域の間に位相調整領域を設け、この領域に電流注入を行うことで位相調整を実施できる(つまり共振長を変化できる)ことから、広い波長範囲で単一波長発振を実現しています。

 なお、モードホップフリーではないため、使用用途によっては注意が必要となります。


【DR方式】

 DFBにDBRを合わせて構成されています。

 DBRレーザーとは異なり、DFBレーザー領域とDBR領域の間における位相調整が不要なことが特徴となっています。

 それぞれの方式においてメリットメリットとデメリットはありますが、発振波長の狭線幅の観点では外部共振器構造が、小型化および他の素子との集積性ではモノリシック集積構造が優れているといえます。


 

シンクランドではマルチチャンネル波長可変レーザを取り扱っています

 シンクランドのマルチCH波長可変レーザー装置には、標準でDFBアレー方式の波長可変レーザーを搭載しています。光部品評価用光源、光伝送評価用光源、センシング用光源としてご使用いただけ、お客様のニーズに合わせて、CH数やコネクタ種類など複数のオプションをご用意いたしております。

詳しい仕様につきましては、下表もしくは関連製品より詳細をご覧ください。



項目

C500

L500

C150

単位

出力パワー範囲

+7~+15.5

+7~+15.5

+10~+15.5

dBm

波長範囲 

1528.773~1563.455

1572.063~1608.760

1528.773~1567.133

nm

周波数範囲 

191.750~196.100

186.350~190.700

191.300~196.100

THz

周波数微調整範囲 

 +/-5

 +/-6

 +/-5

GHz

周波数精度 

+/-2.5

+/-2.5

+/-1.5

GHz

線幅

≦500

≦500

≦150

kHz

サイドモード抑圧比

≧35

≧40

≧35

dB

相対強度雑音


(10MHz-10GHz,avg)

-135

-135

-135

dB/Hz

偏波消光比

>20

>20

>20

dB

光ファイバ

PMF

PMF

PMF

 

光コネクタ

FC/SPC,SC/SPC

FC/SPC,SC/SPC

FC/SPC,SC/SPC

 


関連製品

マルチチャンネル波長可変レーザ(1~8ch,C/L-Band)

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